初代「サナクト」は第2王朝のカセケムイの娘と結婚することでファラオの地位についた。
第2代ジェセルの時代になると、初期王朝時代以来王達が追求してきた王権確立が実を結び、神たるファラオに相応しい地位を手に入れつつあった。
ジェセルの二女神名「ネチェリケト」は「神の肉体」を意味し、ホルス名「ジェセル」は「聖なる」という意味の接頭語である。
ジェセルの時代、エジプトはシナイ半島の鉱物資源によって得た富を用いて勢力拡大に乗り出し、南方のアスワン付近まで進出した。
ジェセルはトト神(知恵と時の神)の神官イムホテプを宰相(首相みたいなもん)に登用し、ナイル川の渇水による飢饉の際、「クヌム神(ナイル川の水源の主)の神殿に土地を寄進すれば再びナイル川は氾濫する」等の助言を得た。
また、史上初のピラミッドとも言われるジェセル王のピラミッドをサッカラに建立させた。
ジェセル王のピラミッドは建設当初、初期王朝から見られるマスタバとして一辺63m、高さ10mの方形を計画されていたが、イムホテプら重臣によって何度も拡張が繰り返され、最終的には高さ62m、底面125m✕109mの階段状の概観を持つ「ピラミッド」として完成した。
ジェセルは更に、墓室を持たない小型の階段ピラミッドを領内各地に建造し、ファラオの権威としての新しい墓形式を知らしめた。
階段ピラミッドは単体ではなく、周辺の付属物と合わせて「ピラミッド複合体」を形成する。全体を「石造」で建設する建造物としてはエジプト史上初。(初期の石造建築では石造に特化した様式が確立されていなかったため、日干し煉瓦や葦を素材とした古い建設方式を真似て作られていた。)
第3代「セケムケト」のピラミッドは未完成の状態で発見され、盗掘の形跡は無かったが棺の中は空っぽだった。
(歴代王)
サナクト→ジェセル→セケムケト→カーバー→フニ
ジェセル王のピラミッド
ジェセル
イムホテプ
初代「スネフェル」は先王フニとその下級の王妃メルサンク1世の間に生まれたが、より上位の王妃との異母妹ヘテプヘレス1世と結婚することでファラオの地位についた。
いままでマネトの記録は不正確なものが多かったが、第4王朝になると王名等においては同定可能なものも登場しはじめ、他にもヘロドトスやディオドロスによる記録など、資料が豊富になってくる。
スネフェルはヌビアに侵攻し、勝利して服属させた。シナイ半島方面へも外征し、国制の整備も進めた。
第4王朝は第3王朝のピラミッド建造を引き継ぎ、大規模なピラミッドを複数建設した。スネフェルのピラミッドで有名なものはダハシュールの「屈折ピラミッド」と「赤いピラミッド」である。屈折ピラミッドはその名の通り途中で傾斜角度が変わっていて、赤いピラミッドは言わずもがな赤く、世界初の「真正ピラミッド」(階段状じゃないいつものピラミッド)である。中はアンモニア臭いらしい。
屈折ピラミッド
赤いピラミッド
第2代クフのギザの大ピラミッドは世界一高いピラミッドで、高さ146mに達する。第4代カフラー(早世した先王ジェドエフラーの弟)のピラミッド(高さ143mだったが現在は崩れて136m)、第5代メンカウラー(第6代?先王は「バカ」もしくは「バウエフラー」?)のピラミッド(高さ65m)とあわせて三大ピラミッドと呼ばれる。
ギザの三大ピラミッドの並びはオリオン座の三ツ星を表したものであるとする説がある。(しかし大きさと光の強さは一致しない。)
カフラー王のピラミッドの東側には葬祭殿があり、そこから東へ伸びる参道の入り口にはギザの大スフィンクスがいる。
スフィンクスは人(ファラオ)の頭とライオンの体を持つ神聖な存在で、王または神を守護するシンボル。ギザの大スフィンクスはピラミッドを守護するためにカフラーによって建設されたとする説もあるが、他のピラミッドにこんなスフィンクスをつける例は無く、ピラミッド建設以前からあったのではという説も存在する。
ヘロドトスによれば、メンカウラー(ヘロドトスの記述ではミケリヌス)は暴君だったクフと違って慈悲深い統治を行い、そのためピラミッドも負担を減らすために三大ピラミッドの中で最も小さい高さに留めたとされる。
このヘロドトスの記述のように、従来、でかいピラミッドは奴隷に鞭打って強制労働させて築いたとされてきたが、近年ピラミッド付近で建造に関わったとされる人々の住居跡や墓が見つかり、ピラミッド建設には奴隷ではなく専属の労働者がいたことが明らかになった。仕事の後にはビールも配給された。
メンカウラーの後の歴史は不明瞭。
(歴代王)
スネフェル→クフ→ジェドエフラー→カフラー→(バカ?バウエフラー?)→メンカウラー→シェプスセスカフ→ジェドエフプタハ
↑左から「クフ王のピラミッド」「カフラー王のピラミッド」「メンカウラー王のピラミッド」
ギザの大スフィンクス
オリオン座の三ツ星?
初代「ウセルカフ」は第4王朝第3代ジェドエフラーの王女ネフェルヘテプの子で(父は不明)、メンカウラーの王女ケンタカウエスと結婚してファラオの地位についた。
第4王朝で頂点に達した太陽神ラーへの信仰(「ジェドエフラー」は「太陽神ラーの如く永遠なる者」という意味。王名にラーを関連付けたのは彼が初。)は、第5王朝頃から「ラーは王の実の父」という信仰に変化していく。
ピラミッドの重要性は薄れ、小規模になり、ラーを祀る太陽神殿の方が重要視されるようになった。太陽神殿は全部で6つ作られたと記録されているが、現存するのは2つだけである。
ピラミッドの規模は小さくなったとはいえ、ピラミッド複合体は拡大・精密化し、そこで行われる儀式も重要視されるようになり、各ピラミッド複合体には祭礼に携わる人々が居住する「ピラミッド都市」が建設されるようになった。
第3代「ネフェルイルカラー」の時代には第1~5王朝初期までのファラオの一覧とその治世の年ごとの重大事件が記された「パレルモ石」が作られた。
第8代「ジェドカラー」の時代には太陽神殿を築かなくなり、埋葬地も変わった。
最後の王「ウナス」のピラミッド内部には「ピラミッド・テキスト」という、王の来世における再生と復活を保証するいくつもの呪文がびっしり刻まれた。ピラミッド・テキストは王を冥界の支配者オシリスと合一させることに重きを置くものである。
それ以降、太陽信仰は衰退してオシリス信仰に移り変わっていった。
(歴代王)
ウセルカフ→サフラー→ネフェルイルカラー→シェプセスカラー→ネフェルエフラー→ニウセルラー→メンカウホル→ジェドカラー→ウナス
太陽神ラー
ニウセルラー王の太陽神殿の祭壇
ニウセルラー王の太陽神殿(復元図)
冥界の王オシリス
ウナス王のピラミッド内部
(外観は崩れてしまっているが中がすごい)
初代「テティ」は先王ウナスの娘と結婚することでファラオの地位についた。…とする説があるが、実は以前の王たちとテティの関係は不明瞭で、どのような経緯で王座を獲得したのかはよくわかっていない。
第6王朝は、定式化された小型ピラミッド及びその複合施設と、ピラミッド・テキストを第5王朝から踏襲した。
役人の増加に伴い、一人当たりに支払われる報酬は減少し、役人の生活状態は悪化した。
なので、税収増加を目指した行政改革が繰り返し行われるようになったが、十分な効果は得られなかった。
このため、各地のピラミッド都市の管理者などをその地の役人に任じたり、ピラミッド都市等の付属領地を褒賞として与える方策がとられるようになった。
有力な州侯や役人はこうした官職をいくつも兼任し、次第に王をも上回る勢力をもつものも形成されていった。
当時エジプトでは、州侯や上級官吏の勢力が増大しており、テティは婚姻によって有力官吏家との関係を強化することを志向した。
しかし、王子「ウセルカラー」が暗殺計画を王の護衛兵士達と共に謀り、テティは暗殺されてしまった。
ところが、ウセルカラーは政権を安定させることに失敗。治世1年足らずで兄の「ペピ1世」に王位を奪われた。(しかもその後数年で死亡。ピラミッドも無し。)
ペピ1世は父テティの政治手法を受け継ぎ、有力貴族の娘を娶った。
「ウェニ」をパレスチナ遠征に向かわせ勝利し、支配権を得るなど比較的順調に統治を進めた。
第4代「メルエンラー1世」は自らヌビアへ赴き、ヌビアの首長達から臣従の礼を受けるとともに、南部の総督となったウェニに五つの運河を掘らせ、ナイル川上流域の水上交通網を整備した。
しかし在位5年で急死したため、わずか6歳の弟「ペピ2世」が即位した。
ペピ2世は在位64年(諸説あり)と長く、あまりにも長すぎて後継者が既に無くなっている等、次の王が立つ時に混乱が生じた。
このペピ2世の長期に渡る在位の間に王の指導力や地方に対する統制力は著しく弱体化し、彼の死去する頃には第6王朝は有名無実のものとなっていた。
(歴代王)
テティ→ウセルカラー→ペピ1世→メルエンラー1世→ペピ2世→メルエンラー2世→ネチェルカラー
第1~6急端間のナイル川流域一帯。第1~2急端までを下ヌビア(クシュ)、第3~6急端までを上ヌビア(ワワト)という。
王の葬儀や礼拝のために建てられた祭殿。ピラミッドとは違って王墓ではなく、王墓とはちょっと離れた所につくられた。
ノモスの長官。
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